ムーミン谷を読み返す

『スナフキン:ムーミン谷のメロディ』が原作に忠実シーンが多くて良いと聞いた。

やりたい!
じゃあまず原作を読み返そう!

ムーミンシリーズは小学生の頃に講談社の「青い鳥文庫」で読んだきりだ。話の内容は覚えているとはいえ、小ネタ持ってこられたら反応できない自信がある。
『楽しいムーミン一家』のアニメも観ていたはずなのに上澄みしか覚えていない。

青い鳥文庫を含め、それまでに読んでいた本は中学を卒業する頃には全て「親戚に譲る」と言われて引き上げられた。源氏物語なんてまだ3回しか読んでなかったのに。
児童書の中には図鑑も含まれていた。図鑑なんて大人になっても読むやろ…
学研の図鑑LIVEを大人買いしてやろうか。

というわけで大人買いしてきた。

図鑑ではなくてムーミンだ。

箱もかわいい全巻セット

全巻セットが1セットだけ残っていた。
今回は未読だった「小さなトロールと大きな洪水」を読む。
訳書では最終巻の扱いだが、書かれた順序は一番はじめ。1945年に発行されたきり絶版になっていたそうだ。

この本ではムーミントロールが何故、ムーミン谷に住むのか。これからムーミン谷で起こる出来事の序章ともいえる「始まり」が描かれている。
私が長年謎だと思っていたスニフのことも。

スニフは何故あの家に我が物顔で住んでいるのか。客人を迎えることが好きなムーミントロールたちだが、その中でもスニフは自分の家はここであるという顔をしている。ムーミントロールのことだって親友を超えて親戚、いや兄弟だ!と自負しているように見える。
やせこけたポロリみたいな姿で、時にフリーザ様のように高慢な物言いをし、間違いや思いどおりにならないとばいきんまんのように非を認めない。
何故、アレが家に住んでいるのか。何故、一緒に冬眠までしているのか。

なんとスニフは森で迷子になっている途中、家を探すムーミンたちと出会い、そのまま旅に加わったのだ。

ママの言葉に「助けられた」扱いになるのに、彼は旅の途中「いやだ」とか「こわい」とか「家に帰りたい」とピーピー騒ぐ。パパの足跡を見つけて先を急ぐママは無視を決め込んでいたが、心の中では「あ”?帰れるもんなら1人で帰ってみろや」と思っていたかもしれない。
そんなんやから、お前が一番の親友と思ってるムーミントロールの一番の親友はスナフキンなんやぞ!

ママはそこまで口汚くは言わないが、結構辛辣な部分がある。
「いつも優しい」と描かれるが、切羽詰まると周りのことを考えられなくなるし暴言も吐く。大きなヘムルにケンカを売り、スニフをおばかさんと呼ぶ。
未知のものを怖がる息子たちを宥める際に「おばかさん」と呼ぶことがあるが、たぶんこの時の「おばかさん」は「ユーアーフール!!」のおばかさんだ。

これ。

ニョロニョロに対してだってそうだ。
ムーミンパパはニョロニョロたちに『だまされて』旅に出たと言っていた。でもそれはママの主観なのだ。
ニョロニョロたちは船に同乗したムーミンたちを襲ったり、拐かしたりしなかった。彼らの態度は無関心そのもの。
途中、舵取りを代わった海のトロールに対しても同様で、まだ見ぬ土地へ行けたらそれでいいと言った風だ。
この言葉はパパが家族を置いて放浪することを認めたくないママの精一杯の抵抗だ。

彼らは妙に人間くさい生き物なのだ。

その昔、ムーミントロール族はストーブのある人間の家に棲みついていたらしい。まるでジブリの世界のようだ。
気付いている人もいればそうでない人もいた…ということはアリエッティのような生活というより、まっくろくろすけのように「確かにそこにいる」という存在だったのかもしれない。
俄かに妖怪じみてきた。妖怪って妙に人間くさいところあったりするもんね。
それがセントラルヒーティングに変わると居心地が良くないと他の住処を探すようになったらしい。

妖怪かもしれん…(鬼灯の冷徹9巻 第66話『座敷童』)

そんな彼らが旅の末、灯台のような場所に住まう赤い髪の少年と出会う。
この旅の終着点となるこの島で少年が出会った生き物はスナフキンやスノーク、ヘムルといった後のシリーズで活躍する仲間たち。
そしてパパが建てた家を、流されたその場所を見た時に、これからあの物語が始まるのだと胸の高まりを感じる。

ワクワクしてきたところで、そういえば私の持っていたのは学研のじゃなくて小学館の図鑑だったなと思い出した。

小さなトロールと大きな洪水

トーベ・ヤンソン

2011/9/15

ムーミンパパはいないけど、もう待っていられない! 冬がくる前に家を建てようと、おさないムーミントロールとママは、おそろしい森や沼をぬけ、荒れ狂う海をわたり、お日さまの光あふれるあたたかい場所をめざします。 仲のよいムーミン一家にこんな過去があったなんて。スニフがまだ、名前をもたず、「小さな生きもの」だったころのお話。

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