殺鼠剤を殺「チュウ」剤と読みたくなるのは何故なのか

大手町の人々が終電には充分間に合うのに、敢えてタクシーを利用しようとしているのは財布に余裕があるからではない。
東京の初乗り運賃が安いのだ。
特に410円に引き下げられた時は、ずっとタクシー移動をしていた。友人と相乗りしたら「ここは私が」って言うし、言われる日々だ。
(その裏には「会社の経費で落ちるし」という理由もあるのだが)

神戸市なんて初乗り700円とかなので、ちょっとそこまで…みたいな使い方はできない。今では減ったけれどクレジットを含むキャッシュレス決済を断る車が多かった。そんな場所でなら終電には充分間に合うのにタクシーを利用する者は財布に余裕のある人間だろう。

九段下のライブから帰る途中、寄らされた大手町の炎上現場で深夜まで仕事をし、翌日は自分の炎上現場に行かねばいけないのに…と考えながらタクシーを探して…ズドン。
こうなってたかもしれない自分を想像すると、その理不尽さに『なぜ朝、上司からの連絡を折り返してしまったのか?』と後悔してもしきれない。
なんだよ…慣れない東京で頑張ってるからワインバルに連れてってくれるみたいな連絡じゃなかったのかよ…

さて連続射殺犯。彼は都内有名大学を出て大企業の社員か銀行員、若しくは官僚を目指していたらしい。しかし社会情勢が変わり、内定が貰えないまま無職となったのだそうだ。
コンビニ店員となり…アイスのケースに入った動画がバズったらしい。

これおまえか。

「一体どこで間違ってしまったのだろう」って確実に冷凍庫だよ!!

SEの世界では都内の有名大学なんぞ出なくても大手には入ることができる。中途採用という、学歴があまり重視されない採用方法を使えば、大手に潜り込むことができる。過去の自分がどれだけ会社へ貢献したかなんてのを大仰に語れば受かる可能性がある。

そうはいっても彼の場合、騙った過去の栄光の化けの皮が剥がされて閑職に追いやられるとか、自分より高学歴の年下上司を許せなくなったりとか、別の問題が起きそうだ。
彼に限らず、割とよくある事象なので弊社は採用基準をもう少し考えた方がいいと思う。
なんだよ。「俺の方が年上だから俺の案(上司曰く下策中の下策)でいくね」とか勝手に決めようとすんなよ。プロジェクトの地位も会社での地位も私の方が上だから決定権はこっちにあるし、おまえは単なる古参なだけで降格決まってんだよクソが。

閑話休題。
毒島真理の「最後の事件」とは、前作『作家刑事毒島』で語られた、被疑者を死なせてしまった事件のあらましだ。
作中で犯人たちが犯行に及ぼうとした際に、なんか温和そうな男が登場すると何故か「あかん!逃げろ!殺られる!」と叫びたくなる。犯罪者を応援しているわけではないが、ホラー映画を見た時のようなおぞましい緊張を感じる。
「自分では一切手を汚さずに悪さをする人間が一番嫌い」という毒島はその理由を「僕自身がそういうタイプだから」と言う。
悪さをする時は「一切手を汚さず」なので、殺されるはずがないのだけれど、毒島真理という男の不気味さがそう思わせる。
なんだろうな…なんか既視感あるよな…

滑川さんはそんなヤツじゃないやい!(3月のライオン9巻/羽海野チカ)

彼は<教授>を自身の同類としながらも、<教授>の手足と同レベルにあしらう。
裏で糸を引く教授と言えば、ジェームズ・モリアーティを想像するが、<教授>が関与する一連の事件ではその足元にも及ばないと評価せざるを得ない。それは「ぷぷぷ…これがラスボスとか駄作じゃん」ということではなく、このラスボスよりも毒島の口撃の方が圧倒的に恐ろしいからなのだ。

どこかに高遠遙一みたいな地獄の傀儡師いないものか…

毒島刑事最後の事件

中山七里

2022/10/6

皇居周辺で二人の男が射殺された。世間が〈大手町のテロリスト〉と騒ぐ中、警視庁一の検挙率を誇る毒島は殺人犯を嘲笑。犯罪者を毒舌で追い詰めることが生きがいの彼は「チンケな犯人」と挑発し、頭脳戦を仕掛ける――。出版社の連続爆破、女性を狙った硫酸攻撃。事件の裏に潜む〈教授〉とは何者なのか?人間の罪と業を暴く、痛快ミステリ!

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