異世界転生

僕は今、死後の世界にいる。
信号無視したトラックに跳ねられたようだ。
「まだ若いのに可哀想に」
白い服を纏った神々しい女性が現れそう言ったのが聞こえた。
「あなたにはこのまま次の命へ転生いただきます。是非、前世の知識を活かしより良い世界を創造ください」
そう手にしたリモコンのようなもののボタンを押すと、僕の足元が光り出したーー

気が付くと、僕は小高い丘の草原に寝転がっていた。眼下には見たことのない長閑な田園風景が広がっている。
まるでファンタジーの物語に訪れたようだった。

「これが…異世界転生…!」
きっと僕という英雄を待ち受けている冒険がここにあるんだ!僕はその町を目指して走りだした。

***
「審判の簡易化として記憶リセットの省略と死因による転生先選定を試験的に導入しましたが、モニターの方々からは苦情が相次いでいます」
「特にヨーロッパの田園地帯に転生いただいた方は第一声が概ね『こんなはずじゃなかった』だそうです」
ホワイトボードに貼り出した、様々なグラフを眺めながら女神は報告を聞いている。
「なるほど。下界の流行とタイミングが悪かったのですかね…」

「天界の効率化に加え、知識の蓄積でより良い世界になると思ったのですが…別の策を講じましょうか」

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