博士のロボット

その博士はいつもロボットを連れていた。

ある記者が尋ねた。
「いつも連れていらっしゃるロボットにはどのような役割があるのですか?」
「もう私も年ですからね。このロボットは私の健康を管理してくれているのですよ」
博士はそう言ってにっこりと笑った。

ある日、研究室で助手の1人が他のロボットをメンテナンスしていた。助手は博士の後ろにぴったりと寄り添うロボットに目をやり聞いてみた。
「先生、そのロボットもそろそろメンテナンスしておきますか?」
「ありがとう。気持ちだけで充分だよ」
「でも、先生の健康を守るならマメに手入れしておかないと…」
助手は心配そうに博士を見る。
「ははは。守るのは何も身体の健康だけじゃないよ」
不思議そうな顔をしている助手に、博士は「君には教えてあげよう」と話しはじめた。

数年後、博士は旅先の事故で命を落とした。不思議なことにロボットは博士が亡くなった瞬間に小さく爆発し起動を止めたらしい。

「博士の後を追うなんて素敵な絆じゃないか」
「博士の健康を守れなかったからロボットは壊れたのかな」
口々に騒がれる中、助手はある記者からのインタビューに答えていた。
「博士が亡くなった際に、研究室で小火があったと聞きました。これは博士の死と何か関係があるのですか?」
「あぁ、博士のパソコンが火を吹いた件ですね。ロボットが最後まで博士の健康を守った証ですよ」
そう笑う助手の傍らにはロボットが佇んでいた。

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