箱庭遊戯

「そういえば昔お母さんがトイレのタンクの上に色んなミニチュア置いてたよね」
久々に会った妹の話にふと思い出す。

母の遊び心が詰まった小さな小さな箱庭。
ある時はプラスチック製の氷の世界が広がり、ある時は小さな兵隊がジャングルから此方を狙っていた。
「そんなの作ってたねぇ。しかも結構頻繁に変わるんだよね」
「そうそう。でも、天地創造してる姿は見たことなくてさ。お姉ちゃん見たことある?」
「言われてみればないなぁ…私たちが学校に行ってる間に作ってたのかな」

母の世界は創造と破壊を繰り返す有限的な世界だった。生まれればそこには必ず終わりが待っている。
「世界が1つだなんて物足りないわ…」

もし私が神様なら、自分の箱庭の中に様々な世界をコレクションしておきたい。一つ一つの世界を覗けば、全く違う物語が繰り広げられている…なんて考えるだけで楽しそうだ。

「あ、お姉ちゃんって金魚鉢用にビー玉集めてたよね。たくさん持ってきてあげたよ」
「今、うちの金魚鉢にはビー玉しか入ってないんだけど…」
受け取ったビー玉の袋は下手すると殺人事件が起きそうな重さだった。
袋から一つを取り出し、陽にかざしてみる。
「この1つ1つに世界があれば私は母さんの箱庭に勝てる気がする」
ニヤリと笑い妹を見ると、彼女は「やべぇ。神が増えた」と声をあげて笑っていた。

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